建設業の事故例|ヒヤリハット5選|防止策と必要な保険を解説

2026/06/24

ヒヤリハットとは、仕事中に「もう少しでケガや事故につながるところだった」と感じた出来事のことです。

 

事故や損害が発生していなくても、現場に潜む危険を把握し、災害防止へつなげる材料になります。

 

一方、実際に人のケガや物の損害が発生した場合は、ヒヤリハットではなく事故です。

 

以下では、5つの場面ごとに「事故になる一歩手前の例」と「事故に至った場合の例」を分けて紹介します。

 

ヒヤリハット・事故例1|高所から転落しそうになる

 

建設現場で特に注意したい事故の一つが、高所からの転落です。

 

足場や屋根の上での作業中にバランスを崩し、骨折や入院につながるケースがあります。

 

ヒヤリハットの例と防止策

 

足場上を歩いているときに足場板が傾き、バランスを崩したものの、転落には至らなかった事例があります。

 

作業前に足場板や固定状態を点検し、不具合があれば使用を中止して補修・交換しましょう。

 

事例①:足場から転落し骨折

 

外壁工事中、作業員が約3メートルの高さから転落し、足を骨折。

 

【発生し得る費用のイメージ例】(実際の金額はケガの程度・療養期間などにより異なります)

  • 治療費:約50万円
  • 休業補償:約120万円
  • リハビリ費用:約30万円

合計:約200万円(イメージ)

 

政府労災で治療費や休業補償などが給付される一方、工期の遅延や代替人員の確保など、会社側の負担も発生します。従業員・家族への補償を手厚くしたい場合や、会社が負う賠償リスクへの備えは、労災上乗せ保険の検討も有効です。

 

補償される主な保険

  • 労災保険
  • 上乗せ労災保険(任意加入)

 

労災保険は治療費や休業補償などを補償します。しかし、労災保険だけでは十分とは言えない場合もあります。従業員やその家族への補償を充実させたい場合は、上乗せ労災保険の活用も検討しましょう。

 

労災上乗せ保険の詳細 → 建設業の労災上乗せ保険とは?補償内容と必要性を解説

 

ヒヤリハット・事故例2|資材・工具が人に当たりそうになる

 

工事現場の近くを歩いていた方に、誤って工具や資材が落下してケガを負わせてしまう事故です。

 

特に住宅街や商業施設周辺の工事では注意が必要です。

 

ヒヤリハットの例と防止策

 

足場から工具や資材が落ち、下にいた作業者や通行人の近くへ落下する事例があります。

 

上下で同時に作業しないことを基本とし、作業時間をずらす、立入区域を設ける、落下防止ネットや工具の落下防止具を使用するなどの対策を行いましょう。

 

事例② 工具落下で通行人が負傷

 

工事現場の足場から工具が落下し、通行人の肩に直撃。

 

【発生し得る費用のイメージ例】(実際の金額は負傷の程度や示談・訴訟の経過により異なります)

  • 治療費:約40万円
  • 慰謝料:約80万円
  • 休業損害:約50万円

合計:約170万円(イメージ)

 

第三者へのケガでは、請負業者賠償責任保険で備える領域です。

 

補償される主な保険

  • 請負業者賠償責任保険

 

相手への治療費や慰謝料などの賠償責任を補償します。事故によっては高額な賠償となることもあるため、多くの建設会社が加入しています。

 

請負業者賠償責任保険の詳細(事故例) → 建設業の請負業者賠償責任保険|事故例と賠償リスク

 

ヒヤリハット・事故例3|配管や建物を破損しそうになる

 

リフォーム工事や設備工事の際に、誤って壁や床、配管などを破損してしまうケースがあります。

 

小さな破損でも修理費用が高額になることがあります。

 

ヒヤリハットの例と防止策

 

撤去対象と同じような配管を誤って切断しかける事例があります。

 

着工前に図面と現場表示を照合し、施主・元請け・施工業者の関係者で対象箇所を確認したうえで、作業者へ周知しましょう。

 

事例③ 配管破損による水漏れ事故

 

リフォーム工事中に給水管を破損。下階の店舗にも浸水被害が発生。

 

【発生し得る費用のイメージ例】(実際の金額は被害範囲・営業補償の算定などにより異なります)

  • 配管修理費:約30万円
  • 床・壁の復旧費:約250万円
  • 店舗商品の損害:約180万円
  • 営業補償:約200万円

合計:約660万円(イメージ)

 

小さな施工ミスでも、第三者の財物損害や営業補償が高額になることがあります。工事中のミスによる第三者への物損は、請負業者賠償責任保険で備える領域です。

 

補償される主な保険

  • 請負業者賠償責任保険

 

工事中のミスによって第三者の財物に損害を与えた場合の賠償責任を補償します。お客様との信頼関係を守るためにも重要な保険です。

 

請負業者賠償責任保険の詳細 → 建設業の請負業者賠償責任保険|事故例と賠償リスク

 

ヒヤリハット・事故例4|強風で足場や資材が動く

 

強風や台風の季節は、足場・養生・資材の飛散リスクが高まります。季節ごとの事故傾向の整理はこちら → 建設業で事故が多い時期はいつ?月別リストと対策まとめ

 

また、建築中の建物や現場に搬入した資材が、火災・台風・落雷などで損害を受けることもあります。

 

ヒヤリハットの例と防止策

 

強風で型枠や養生材があおられ、周囲へ飛散しそうになることがあります。

 

気象情報を確認し、強風が予想される場合は作業の中止・延期を判断するとともに、足場や資材、シート類の固定状態を点検しましょう。

 

事例④ 足場倒壊で隣家を損傷

 

台風による強風で足場の一部が倒壊し、隣家の外壁や窓ガラスを破損。

 

【発生し得る費用のイメージ例】(隣家への賠償が問題になる場合のイメージ。実際の金額は被害範囲により異なります)

  • 外壁修理費:約350万円
  • 窓ガラス交換:約40万円
  • 仮設養生費:約30万円

合計:約420万円(イメージ)

 

ポイントは「誰の・何の損害か」です。

 

補償される主な保険

  • 建設工事保険(工事目的物・現場資材などの損害)
  • 請負業者賠償責任保険(第三者への賠償)

 

「建設業総合保険」は商品パッケージの通称として使われることがありますが、本記事では役割が分かりやすい「建設工事保険」で案内します。

機械設備の据付・組立工事が中心の場合は、組立保険など別商品が適するケースもあります。

工事内容に合うかは証券・約款で確認してください。

 

建設工事保険の詳細 → 建設工事保険とは?対象・対象外・事故例と請負賠償との違い

 

ヒヤリハット・事故例5|重機が人や車両に接触しそうになる

 

バックホーやクレーンなどの重機作業中に、近くに停車していた車両や設備を破損させてしまう事故も発生しています。

 

現場が狭い場合や周囲に住宅がある場合は特に注意が必要です。

 

ヒヤリハットの例と防止策

 

バックホーの後進・旋回時に、作業者や車両へ接触しそうになる事例があります。

 

重機の作業範囲を区画して立ち入りを制限し、誘導者を配置したうえで、運転者と合図方法を統一しましょう。

 

事例⑤ 重機が高級車に接触

 

バックホーの旋回時に近くに停車していた高級車へ接触。

 

【発生し得る費用のイメージ例】(実際の金額は車種・修理内容により異なります)

  • 車両修理費:約180万円
  • 代車費用:約20万円

合計:約200万円(イメージ)

 

車種や損傷の程度によっては、さらに高額になることもあります。第三者の車両・設備への損害は、請負業者賠償責任保険で備える領域です。

 

補償される主な保険

  • 請負業者賠償責任保険

 

第三者の財物への損害に対する賠償責任を補償します。事故の規模によっては数百万円以上の賠償になることもあります。

 

請負業者賠償責任保険の詳細 → 建設業の請負業者賠償責任保険|事故例と賠償リスク

 

ヒヤリハット報告を事故防止につなげる方法

 

報告する内容を5項目にそろえる

 

ヒヤリハットが起きたら、次の5項目を簡潔に記録します。

  • いつ・どこで・どの作業中に起きたか
  • 何が起きたか
  • どのような事故につながる可能性があったか
  • 考えられる原因
  • その場で行った対応と今後の対策

 

報告者を責めず、現場で共有する

 

報告を増やすには、個人のミスを責めるのではなく、設備、作業手順、連絡方法などを改善する材料として扱うことが大切です。

 

朝礼や安全ミーティングで対策まで共有し、別の現場でも同じ危険を防げるようにしましょう。

 

建設業に必要な保険は会社ごとに異なる

 

建設業の事故といっても、備える保険は次のように分かれます。

 

 

「労災に入っているから大丈夫」だけでは足りないことがあります。会社の規模や工事内容、元請条件によって必要な補償は変わるため、証券と現場のリスクを突き合わせて確認してください。

 

季節・時期ごとの事故傾向もあわせて確認 → 建設業で事故が多い時期はいつ?月別リストと対策まとめ

 

まとめ

 

建設業のヒヤリハットは、転落、工具・資材の落下、配管の誤切断、強風による飛散、重機の接触など、重大事故の一歩手前の出来事です。小さな事例でも記録し、原因と対策を現場で共有することで、同じ危険の繰り返しを防ぎやすくなります。

 

一方で、対策をしても事故をゼロにはできないため、補償の役割も分けて確認してください。

 

 

自社の工事内容や使用重機、元請条件に合っているか分からない場合は、証券を用意のうえACCELまでご相談ください。

建設業の保険まとめ → 建設業の保険|工事保険・業務災害保険・労災上乗せ保険|ACCEL

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参考資料

厚生労働省「職場のあんぜんサイト|ヒヤリハット」

厚生労働省「職場のあんぜんサイト|ヒヤリ・ハット事例」

厚生労働省「理工系学生向け安全衛生教育教材 建設設計編」

 

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